長野自動車道塩尻ICから6kmほど東に向かい、案内板に従って住宅が点在する一帯から山道に入り、高ボッチ山に向かって3kmほど登って行くと崖の湯温泉に到着する。

松本市と塩尻市の境の標高1000m、国定公園に指定されている高ボッチ高原から5kmほど手前の山道に沿って、斜面にすがりつくように6軒の宿が点在している。
最近改装した「薬師平茜屋(旧薬師平ホテル)」を除き、いずれも年月を経た佇まいで、湯治場としての雰囲気を今に残している。

どの宿も規模は大きくないが、松本平越しに北アルプスの3000m級の山々を一望に見渡せる眺望が売り物だ。

崖の湯温泉は、奈良・東京往復の中継地点に適した場所にあるので、マイナーながらいつかは宿泊しようと思っていた温泉地だった。

風 呂

施設名 : 薬師平茜宿(やくしだいらあかねじゅく)  (宿泊日:2008.9.30)(平日2人1室 1人16,800円 税込)

201号室、10畳の落ち着いた和室。

松本平を眼下に見る眺望ラウンジ。クラシックなストーブが印象的。

館内のあちらこちらに古い民芸調の家具が置かれている。




崖の湯温泉は松本平を見下ろし、北アルプスを眺望する高ボッチ山の山腹、標高1000mにある素朴な温泉地。薬師平茜宿は、合掌造りなどとともに日本を代表する木造建築・本棟造りの宿で、移築した合掌造りの家を食事処にするなど、風情たっぷりの日本秘湯を守る会の湯宿である。

飛騨の合掌造り、木曾の横屋造りと並んで日本を代表する木造建築と言われる松本・安曇野地方の本棟造り。
本棟造りは切妻、妻入りの大型民家で、棟の先には巨大な「雀踊り」と呼ばれる棟飾りがついている。
薬師平茜宿はその様式を取り入れた建物で、日本秘湯を守る会の会員旅館だ。

小さな鄙びた宿が数軒の崖の湯温泉の一番手前にあり、眼下に松本平、天気が良ければ白馬から乗鞍岳に至る北アルプスの雄峰を前方に望む。
しかし、宿泊した日はあいにく雲がかかり全く見えなかった。

部屋数は33室(和室28洋室5・・・BTまたはT付きとBT無しがある)と中規模、案内された部屋は201号室で落ち着いた和室、小さなユニットバスがついているが、トイレは残念ながらシャワー付ではなかった(宿泊料金からすると意外)。
宿泊料金は平日で10,000円〜18,000円(休日前で11,000〜20,000円)程度で、当然のことながらトイレ無しの部屋が安くなる。

浴室は男女別の内湯と露天風呂がある。浴室は広々としており、浴槽を含めて石板を敷き詰めてあって品格・高級感がある。

内風呂から繋がるこじんまりした露天風呂は温もりを感じる木造で、白樺や山野草が点在する庭と一体化し、眼前には松本平、遠方には南北に伸びる北アルプスが望める。
とても雰囲気のある風呂だ。

温泉はカルシウム・マグネシウムー硫酸塩・炭酸水素塩泉だが、泉温が12℃の冷鉱泉なので当然ながら加温している


露天風呂の湯口

所在地 : 松本市内田

大きな「雀踊り」がついた本棟造り。



夕食・朝食は合掌造りの旧家を移築した重厚な食事処・合掌庵で取る。
テーブル席なのが足腰に支障がある我々には嬉しい。
料理は信州らしく川魚と山菜などの地元の食材をふんだんに使った、と言いたいところだが、宿泊時季にもよるのだろうか、それを感じるまでの料理は並ばず、やや郷土色・季節感に欠けていた。
それにもまして、料理の出るペースが速く、前菜を食べ終わる前に肉も魚も並ぶという慌ただしさには参った。当日の宿泊客が5、6組、早く厨房を仕舞いたかったのだろうか。

太い柱や梁が巡らされた合掌造りの食事処

定番だがしっかりした朝食

食 事

内湯は石板敷きの端正な浴室・風呂。大きなガラス窓が開放的。左のドアから露天風呂へ。

2、3人しか入れないが、かけ流しにしてある。眼下に松本平が見下ろせて爽快。天気が良ければ北アルプスも遠望できる。

眼下に松本平が広がる。(部屋からの風景)

松本市は、2005年4月、上高地・乗鞍岳・白骨温泉等が所在する安曇村など4村を実質的に吸収合併した。

これにより、松本市は日本を代表する山岳観光地と白骨温泉・乗鞍高原温泉、中の湯温泉・坂巻温泉などの温泉地を一挙に手に入れることになった。

さらに東には、日本一のアルプス眺望と高原植物が咲き乱れる美ヶ原、浅間・美ヶ原温泉の他、小さいながらも人気の扉温泉や素朴な崖の湯温泉等と合わせて、日本有数の山岳・高原・温泉都市となった。

この日、前日宿泊した岐阜県御嶽山山腹の濁河温泉を発ち、途中、木曽福島周辺で立ち寄り入浴をしてから、国道19号線(旧中山道)に乗って北上、塩尻で蕎麦の昼食、その後、同じ崖の湯温泉の宿・群上閣に立ち寄ってから、今宵の宿・薬師平茜宿にチェックインした。

上高地・大正池から穂高連峰を望む

籠が自由に取り出せるので使いやすい。

住 所 長野県松本市内田崖の湯温泉
電 話 0263−58−2141
交通機関 中央自動車道塩尻ICから国道20号線などで約8km
JR篠ノ井線松本駅からタクシーで約25分
施 設(日帰り) ラウンジ 売店、駐車場(30台程度)
宿 泊 和室28室(バス・トイレ付13室) 洋室5室(全室バスト・トイレ)
10,000円〜20,000円程度
(曜日・季節・人数・年等によって変動するので、下記HPを参考にするか電話で照会ください。)
泉 質 カルシウム・マグネシウムー硫酸塩・炭酸水素塩泉 泉温12℃
適応症 不記載(理由は「温泉の基礎知識ー温泉の効能」参照)
入浴時間 休前日:午前10:30〜午後3:00 (※各種連休・お盆・年末年始等も休前日に 含まれる)
平日:午前10:30〜午後8:00
定休日 不定休
入浴料金 大人 700円
子供 400円  幼児 300円  乳児 200円
入浴施設 内湯男女各1露天風呂男女各1
浴室備品 シャンプー、ボデイソープ、 ロッカー、ドライヤー
観光スポット 高ボッチ高原(高山植物・レンゲツツジ、8月の草競馬)、牛伏寺、ブドウ狩り、松本市、諏訪大社、諏訪湖及び周辺の観光スポット、ビーナスライン、白樺湖、蓼科高原、霧が峰高原、美ヶ原、上高地
お土産・食事 宿で昼食不可。周辺に食事処・土産物屋を見かけなかった。
近くの温泉 高ボッチ温泉、浅間温泉、美ヶ原温泉、上諏訪温泉下諏訪温泉蓼科温泉、蓼科高原温泉郷、奥蓼科温泉郷毒沢鉱泉
松本市観光HP
松本観光協会HP
薬師平茜宿HP
http://youkoso.city.matsumoto.nagano.jp/
http://youkoso.city.matsumoto.nagano.jp/yado2+index.htm
http://akanejyuku.com/
雑記帳 初日が岐阜県御岳山の中腹にある濁河温泉、2泊目をここ崖の湯温泉か毒沢鉱泉にするか迷った。温泉の個性からすれば当然のことながら毒沢温泉(神の湯)だったが、北アルプスの眺望を期待して崖の湯温泉の薬師平茜宿に決めた。しかし、当日はあいにくの曇り、期待の北アルプスは雲に隠れて全く見えなかった。
データ (変更されている可能性もあります。お出かけ前にご確認ください。)
温泉名 : 崖の湯温泉 
崖の湯温泉 薬師平茜宿 (長野県)