日本秘湯を守る会の旅館。
内湯は大きくない。
しかし、温泉成分が付着した木造の湯舟、壁のレリーフ、渋い藍色の温泉が静かに流れ出ている。
たまらない雰囲気の風呂に感動。
以前から機会を逃していた、「無言館」を訪れる。
太平洋戦争で戦没した若き画学生の作品・遺品が展示されている。
部屋からの豪壮な眺めは狩野派の絵のようだ。
洗練された夕食
有名な「元禄の湯」、これに入りたくて積善館に予約を入れた。
元禄4年(1691年)創業の老舗旅館。インターネットで唯一空いていた貴賓室に宿泊。これまでで最上級の部屋だった。、
讃岐・稲庭と並ぶ日本三大うどん。やや細め、腰が非常に強く、ゴマ汁で食べる。
ウドンよりソバを好むが、ここは例外で3回目の昼食だ。
群馬・長野の名湯・秘湯を訪ねる3泊4日の旅
東京からの帰途、かねてより行きたいと思っていた上州・信州の名湯・秘湯を一挙に訪ねた。
標高によって秋の進み具合は違っていたが、幾多の峠を越え、あちらこちらで美しい紅葉を堪能しつつ、有名無名の名湯・秘湯で入浴を重ねた。
午前9時過ぎ、東京・目黒区の実家を出発。
環七から練馬ICに出て関越自動車道に乗り、渋川伊香保ICで降りる。
● 水沢うどん
伊香保温泉方面に向かう途中、水沢観音近くで名物のうどんを食べる。
国道363号線経由で沢渡温泉へ。
道を引き返し四万温泉へ向かう。
草津・伊香保と並ぶ上州三湯の一つ。歓楽的な雰囲気は皆無、しっとりした温泉地だ。
共同浴場「河原の湯」でも入浴。
洒落た容器の朝食
再びロマンティック街道に乗って、昨日入浴した沢渡温泉を通り過ぎる。
四万温泉・積善館(群馬県)
沢渡温泉・まるほん旅館(群馬県)
湯の平温泉・松泉閣 (群馬県)
誰が名付けたか「湯の、名前に偽りありだ。はじめから露天風呂に入るために「谷を下るx3 & 谷を登るx3」と分かっていたら、絶対、立ち寄らなかった。
草津・万座を通過、もったいないが先を急ぐ。もう何回走っただろうか、好きな志賀・草津道路(国道292号線)に乗って志賀高原に向かう。
●志賀草津道路
以前から立ち寄りたかった緑色の温泉だ。
部屋数が多いので、かえって立ち寄り湯の方がゆったり入浴できると思っていたが大正解!
熊の湯温泉・熊の湯ホテル(長野県)
すべて木造の風呂に透明な緑色の温泉、文句なく素晴らしい。
露天風呂
もう一つの緑色の温泉・国見温泉(岩手県)
再び志賀草津道路に乗り、渋・湯田中温泉郷の横を通過して、国道403号線経由で今夜の宿・信州高山温泉郷に向かう。
フルーツの季節は、必ず現地直販所かJA選果所に立ち寄る。今回も、温泉郷へ向かう県道の入口で2種類のリンゴを大量に買い込んだ(自家消費・孫と近所の土産に)
松川渓谷は、紅葉の盛り(大渋滞になる)は過ぎていたが、それでもなかなかの景観だった。
 松川渓谷温泉滝の湯 (長野県)
待たせる家内に頭を下げて本日3ヶ所目の立ち寄り湯。
野趣豊かな露天風呂。紅葉時の入浴で知られるが、残念、ここも散っていた。
五色温泉・五色の湯旅館 (長野県)
木造の風情ある小さな内風呂、ワイルドな露天風呂は文句なし。
でも、館内設備・料理・サービスなどを総合すると、少し料金が割高に感じないでもない。
翌日に帰る予定だったが、家内の同意を得てもう一泊することに。
さっそく地図とガイドブックを睨めっこ。
前に立ち寄り、しっとりした風情が気に入った別所温泉に泊まることにし、予約を入れた。
五色温泉から車で数分、七味温泉の日帰り施設に30分待って入浴。

すぐ横から湧き出る温泉、荒々しい周囲の自然、大きな露天風呂と味のある内湯。
素晴らしいの一言に尽きた、
 七味温泉・湯元牧泉館 (長野県)
別所温泉へは大回りとなるが、以前から入浴したかった鹿沢温泉へ向かうため、国道406・144号線・県道94号線で南下し、再び群馬県に入る。
新鹿沢温泉から再び高度を上げ、標高1,500mの鹿沢温泉に到着する。七味温泉から2時間だった。ここは「雪山賛歌」発祥の地だ
  鹿沢温泉・紅葉館 (群馬県)
別所温泉臨泉楼柏屋別荘 (群馬県)
信州の鎌倉と言われる別所温泉。
温泉街の一角には八角の三重塔(国宝)を有する安楽寺、、天台宗別格本山・常楽寺、善光寺のみでは片参りと言われる北向観世音堂など数々の文化財が点在している。

また唐破風の屋根を持つ共同浴場群が風情を増し、温泉街をしっとりした雰囲気にしている。
安楽寺三重塔(国宝)
温泉教授・松田忠徳氏の「日本百名泉」に選ばれた温泉宿。木造4階建て本館の3階左側に宿泊した。
● 4日目
老舗旅館らしい立派な朝食
別所温泉から麻績ICに出て長野自動車道に乗り、塩尻北ICで下りて、国道19号線(旧中仙道・木曽路)を南下し奈良井宿に向かう。
● 奈良井宿
かっては奈良井1000軒と呼ばれた旧中仙道の宿場町を観光。
人口湖の横を通過、予想していたよりは整備された道だった。これから難所の権兵衛峠(1、530m)を通過しなければならない。
ところが思いがけず国道361号線(権兵衛街道)はトンネルが開通したばかり。峠を越えることなくあっという間に中央道伊那ICに出た。(正面は南アルプスの雄峰群)
2007.7.24UP
2006年11月5日(日)〜11月8日(水)

1日目
旅館・温泉施設の写真をクリックすると紹介記事へ。
写真をクリック(以下同じ)
木と石が見事にハーモーニーした美しい風呂。
沢渡温泉入口
沢渡(さわたり)温泉では、共同浴場で入浴済みだが、今回はガイドブックでも度々紹介されている「まるほん旅館」の美しい風呂に入るのが目的。
国道が行き止まりとなる所に四万温泉が湯煙を上げる。
国道353号線で北上。道は2車線で快適だ。
怪異な有笠山(820m)。草津と沢渡を最短で結ぶ裏街道(県道55号線)は、日本ロマンティック街道に組み入れられている。

2日目
湯の平温泉に到着、紅葉が真っ盛りだった。
センターラインが無い部分もあるがすれ違いには問題ない。
標高1,088mの暮坂峠を越える。2回目の通過だ。すぐ近くに若山牧水の像が立っている。
活火山の白根山(2,160m)の横を通過。お釜は観光スポット。
ぐんぐんと高度を上げて行く。
ガスのため停車禁止の区域。
志賀高原
国道横に「ほたる温泉」の源泉。
国道では最も標高が高い渋峠(2,172m)
谷を下ってようやく入浴(帰りが怖い)
谷から登って来てようやく到着、と思ったら、露天風呂は谷底。
谷を下って吊り橋を渡る。
少々寂しい朝食は残念。
3日目
道路はすべて快適な山岳道路。菅平高原・鳥居峠(1,362m)、鹿沢高原など標高1,000mを越える地域を通り過ぎ、新鹿沢温泉(写真右)に入る。道中、まだ紅葉が残り素晴らしいドライブが楽しめた。
小諸の西で国道18号線に乗って北西に向かい、上田市に入って塩田平の外れにある別所温泉に向かう。
再び、夜間は通行禁止となる県道92号線に乗って、レンゲツツジの群生で有名な地蔵峠(1,732m)を越えると、道幅が狭くなりヘアピンカーブの連続となる。
大師湯
石湯
大湯
これまでの(短期の)温泉旅で、文句なく最高のものだった。

「名湯・秘湯・古湯」
「歴史の宿・人気の宿・秘湯の宿」
「豪快・爽快・しっとり、タイプの異なる様々な内風呂・露天風呂」
「1000m〜2000mの幾多の峠越えと紅葉綾なす山間の道」
「歴史探訪と文化遺産」

これらの全てを満足した旅だったからだ。
旅はここまで、一路奈良に向かった。
美人女将とツーショット