さして広くもない甲府盆地には、県庁所在地の甲府市を囲むようにして山梨市・甲州市・甲斐市等の紛らわしい名前を持った市がひしめいている(他に笛吹市・韮崎市なども)。
平成の合併の際にもっと統合されても良さそうなものだったが、信玄公のお膝元は群雄割拠状態、随分と行政コストが嵩んでいるだろう。
甲斐市は甲府盆地の中西部に位置し、人口が7万4千人だが、それでも甲府市に続いて県下第2位、市の西部を信玄堤で知られる釜無川が流れる。
甲府盆地と言えば桃とブドウが知られるが、甲斐市はむしろ、梅、サクランボや苺等の栽培が盛んなようだ。
観光的にはこれと言ったところは無い地味な自治体故か、信玄公の「甲斐の国」の地名を市名としていることに対し、かって甲斐の国で重要な役割を持ったことはない地域とどこかで皮肉られていた。
甲府盆地から見る富士山。実際にはもっと小さく見える。
施設名 : ホテル神の湯温泉 (入浴日:2011.11.18 宿泊日:2011.12.11)
甲府盆地には、自噴温泉こそ少ないが、地中奥深く掘削すると湯量豊富な温泉が湧出し、これを利用した宿や日帰り施設が数多く存する。
なぜ、甲府盆地に温泉が湧出するか、これはどうやらフォッサマグナがこの下を通過しているかららしい。
フォッサマグナは、日本の主要な地溝帯の一つで、東北日本と西南日本の境目で、本州中部地方から関東にかけて縦断する。
フォッサマグナの中央部を南北に火山の列が貫き、北から新潟焼山、妙高山、草津白根山、浅間山、八ヶ岳、富士山、箱根山、天城山等が並ぶ。
甲府盆地周辺には火山こそ無いが、フォッサマグナが通る所には温泉が湧出するようで、甲府盆地にある神の湯温泉もその一例だろう。
内湯には、どこかの地質学者が書かれたのだろう、完読するのに30分はかかると思われる甲府盆地の地質学特異性から始まって、ここの温泉の泉質などをこと細かく既述しているボードが浴槽の前に掲げられている。
本音を言えばちょっと侘しい食事処。
掲示板は「フォッサマグナ大地裂帯温泉郷ー神の湯温泉ー源泉かけ流し”七福の湯”の温泉相特性」から始まってる。因みに相特性の意味は検索したけど意味不明。
フロントの横にある神棚にしては大きすぎる本格的な拝殿。
一方ここの源泉は、某神社の権現職が宿のオーナーの土地に立って霊感を得て、この地下に日本に二つと無い特殊な温泉がある、と神託を告げたので、掘削したところ大量の温泉が吹き上げたそうだ。
このことが詳細にパンフレットに長々と書かれていおり、なにやら怪しげな雰囲気があり、これが逆に面白くて、宿泊することにした。
神の湯温泉に到着する寸前の風景。遠くの山は大菩薩峠か?
住宅街の中に案内板が出てくる。
ホテルはかって丘の上にあったが、後から周辺に住宅が建ったようだ。
中央自走車道の甲府昭和ICから車で20分ほど、丘の斜面の住宅街(希望が丘団地)を登って、住宅街が途切れた先にホテル神の湯温泉の鉄筋4階建ての建物が見えてくる。
客室数は、和室が21室(BT16T5)、宿泊料金はガイドブックで表示されているよりも低い料金プランがあり、2012年7月現在で、12、600円のプランがあった。(詳細・最新情報はホテルのHPを参照ください)。
予約はじゃらん等から予約が可能で、ちなみにここから経由で予約・宿泊した人の口コミ評価(宿泊者226人平均)は、総合:4.2、部屋4.1、風呂4.4、夕食:4.3、朝食:4.2、接客:4.3、清潔度:3.9と評価が高いのに驚いた。
風呂は妥当だが、食事が4点を越えてるのが以外だった。
これは私たちが予約したのが12、600円の最低料金プランだったせいかもしれない。
玄関側からは分からない広い庭園に朱塗りの太鼓橋。
典型的な観光旅館の赤絨毯。
202号室 14畳+踏込み2畳(広縁無し 機能付きトイレ)。畳の香りが嬉しかった。正面に富士山が見える。
鉄筋4階建て、21室のホテル神の湯温泉。
風呂は温度差がある6つの浴槽とこれに繋がる1つの小さな露天風呂、それに有料の貸切風呂3ヶ所(50分3000円)と富士山や甲府盆地の夜景を眺望する無料の貸切風呂1ヶ所がある。
内湯は広い浴室に、タイル張り、御影石(多分)の縁で方形に仕切った湯船が6個あり、そこに湯温が異なり、わずかに茶色がかったナトリウムー塩化物温泉が満たされている。
各々の浴槽には38℃〜40℃のように、風呂温度の目安ボードが貼られているので、自分の好きな温度の浴槽を選択できるが、概ね40℃以下の浴槽だった。
浴槽の縁からは湯が静かに流れ出し、タイル張りの床を全面に濡らしている。
1ヶ月前、この風景と温泉の温度が低いのが気に入って、今回は宿泊することになった。
前回入浴したときは、2011年版日帰り温泉ガイドブックでは「加水加温無しの完全なかけ流し」と表示されていたが、同じ年度の宿泊用ガイドブックでは、「循環かけ流し併用又は一部の浴槽がかけ流し」の印がついていた。どちらが正解かは、後日に入浴される方の確認をお願いします。
浴室の床をあふれ出た温泉が濡らす、いつ見ても感動する風景だ(循環でもこういうシーンを見るが)。。
データ (変更されている可能性もあります。お出かけ前にご確認ください。)
大小6個、温度が違う方形の浴槽が並ぶ様は壮観だ。
後付で造ったような小さな露天風呂。
泉質はナトリウムー塩化物温泉。食塩泉、別名熱の湯の割にはさらさらして湯冷めが早かった。加水があるのだろうか。いずれにしても、最近温泉負けする私にはやさしい湯だった。
手前の湯船からのオーバーフローが著しかった。自慢しそうなホテルなのに、パンフレット・HPには高らかなかけ流し宣言は見られなかった。
日帰り入浴は、11時〜23時(受付は21時迄)、料金は大人1,000円(予約不要)。
従業員手作りと表示されていた無料貸切露天風呂「輝きの湯」からは富士山、夜間は甲府盆地の夜景が一望できる。
この風呂は2階廊下の途中にあるが、どこから入っていいか戸惑う。泥棒が踏み台を持ってきて、窓からもぐりこむ入り方、とイメージして、現場に臨んでください
HPやパンフレットを見るとかなり大きな貸切風呂が3ヶ所あるが50分で3000円と高額のため入浴を見送った。
写真は貸切風呂専用のエレベーター。
最低料金での宿泊の場合のみか不明だが、夕食・朝食ともフローリングの宴会場を仕切った(?)と思われる会場で取った。
我々にはテーブル席が有り難かったので不満はないが、本音を言えば、少しばかりうら寂しい気分がした。
夫婦揃って料理には寛大な方なので、見栄えの悪い皿が多かったが、宿泊料金からしてこんなものだろうと納得。
ただ、料理のサーブが目まぐるしいほどのスピードで、デザートまで25分で完了したのには参った。
前菜
造り(まぐろ・川鱒・甘エビ)
ドタッとした天麩羅
ワイン豚の白味噌鍋
牛肉・大根ワイン煮(これは美味しかった)
蒸し豆腐(?)
某神社の神主さんのお告げにより自分の所有地をボーリングしたところ、見事に温泉が湧出したのでこの温泉名が付けられた。ホテル神の湯温泉は甲盆地の高台、富士山を遠望する絶好の場所にあり、7つの浴槽を持つ内湯・露天風呂から惜しみなく温泉が流れ出している。
循環併用の可能性もあり。
食器も地味な朝食。