大湯温泉 阿部旅館 (秋田県)

湯温を下げるため循環・掛け流し併用

敷地内のいたる所から噴煙が舞い上がる大湯温泉阿部旅館。前を流れる大湯沢川の河床から温泉が湧出し川となって流れ、日本秘湯を守る会の宿に相応しい雰囲気の宿だ。その上、1人旅でも10,000円で2食・トイレ付きの客室に泊まれ、コスパ抜群の宿だ。

湯沢市は人口56,000人余り、秋田県の南部に位置し、山形県と宮城県に隣接しており、市の南部を山地が占めている。
隣接する両県とは、国道13号、108号及び398号で結ばれていて、秋田県南部の玄関口となっている。

東方の奥羽山脈、西方の出羽丘陵に囲まれた横手盆地を流れる雄物川とその支流である皆瀬川・役内川沿いには、水田地帯が広がっている。
湯沢市は、市全体が特別豪雪地帯であり、豪雪地帯として知られる秋田県の中でも雪が厳しい部類に入る。

平安時代前期の女流歌人であり、絶世の美女と言われた小野小町は、湯沢市小野が生誕地とする伝承が残っている。しかし生誕地とされる場所は全国各地に点在してるので、真偽は定かでない。

食に関しては、日本三大うどんの一つ、「稲庭うどん」が名物だ(他に讃岐うどん・水沢うどん、但し異説あり)。市域の稲庭町にある20軒前後の店で食したり、土産として持ち帰れる。
県境付近の西栗駒一帯には、温泉好きを唸らせる名湯や秘湯が多数点在している。

食 事

7月〜9月の間、入浴出来る天然川風呂。入浴したのは7月上旬、雨がしばらく降らなかったので、底から湧出する温泉の比率が高くなり、火傷するのでは、と思う位の高温で、慌てて飛び出た。岩に赤字でキケンと書かれた理由が大げさでないことが分かった。右が朝湯、外気温が低いので、湯気がもうもうと立ち上っていた。

温泉が下流に流れて行く。この日は、かなり下った先が適温だっただろう。

「かじかの湯」は、渓流側のL字型の風呂。左の写真の奥は、深さ1メートル30センチの立ち湯になっている。

秋田県南部の湯沢市には、市名に相応しく、マニアを唸らせるく個性的な温泉が点在している。
秋の宮温泉郷(鷹の湯温泉、湯ノ又温泉、宝寿温泉などー稲住温泉は廃業)、小安峡温泉、大湯温泉、泥湯温泉の他、温泉マニア垂涎の滝の温泉・川原毛大滝湯などの温泉群だ。
この他にも木仙山高原温泉、湯の原温泉、湯ノ沢温泉、横堀温泉などがある。

何れも宮城県と通ずる国道108号や398号あるいは両国道の中間地点の山間部にあるが、この他にも日帰り温泉施設や隠れた共同浴場が幾つかある。

大湯温泉は、国道398号で花山峠を越え、宮城県から秋田県に入って20kmほどの所にあり、日本秘湯を守る会の宿、阿部旅館と民宿1軒がある
近隣のあちらこちらで噴煙が舞い上がっていて、湯脈が浅い所まで来てるのが想像できる。

ここから数キロ先には小安峡温泉があり、大湯温泉の前に「奥小安」といった前置も見かける。

1人旅で10,000円、コスパが極めて良かった阿部旅館。

住 所 秋田県湯沢市皆瀬字小安奥山国有林34
電 話 0183−47−5102
交通機関 湯沢横手道路湯沢ICから国道398号で30km
宿 泊 9室(ウオッシュレット付和室8 トイレ無し1)
10,000円〜14,000円程度
泉 質 単純硫黄泉(92℃)
適応症 不記載(理由は「温泉の基礎知識ー温泉の効能」参照)
日帰り入浴時間 8時〜20時(受付終了19時30分)
定休日 不定休
入浴料金 大人 400円 
入浴施設 今昔風呂、露天風呂、天然川風呂(夏季のみ 雨天不可)(本館内風呂は立ち寄り入浴不可)
浴室備品 日帰り入浴はシャンプー、ボデイソープなどの利用は出来ない(本館内風呂不可のため)
観光スポット 小安峡・大噴湯、河原毛地獄稲庭城、稲庭うどん
近くの温泉 小安峡温泉泥湯温泉河原毛大滝湯秋の宮温泉郷、湯ノ沢温泉、須川温泉、花山温泉、鬼首温泉、鳴子温泉郷
湯沢市HP
観光協会HP
阿部旅館HP
http://www.city-yuzawa.jp/
http://akitayuzawa.jp/
http://www.abe-ryokan.jp/
データ (変更されている可能性もあります。お出かけ前に当該施設のHPなどでご確認ください。)。

秋田の山菜・みず(ウワバミソウ)の味噌たたき。

東北の山菜の代表格・根曲がり竹

これほど完璧の一気出しも珍しい。高級旅館でこれだったら怒るが、料金1万円の秘湯の宿では逆に嬉しい。地元の食材・山菜をふんだんに使った飾り気ない料理が並ぶ。

露天風呂から見る源泉風景。泉質はアルカリ性単純硫黄泉。92℃の高温なので、あちこちに”高温注意”や”やけど注意”の文字が書かれていた。

開放的な男性用露天風呂。大小2つの風呂があり、その向こうに「天然川風呂」がある。ここから、河原に自噴する源泉を見ることが出来る。

手前の長方形の風呂。

2階にシャワートイレ付きの客室が8室ある。ここの廊下も磨きこまれて清潔感たっぷりだ。

部屋は6畳に板の間の紫陽花。洗面所とトイレがコンパクトに設けられていて快適。1人旅には十分の部屋だ。二方に窓があり明るく、渓流の響きが途切れなく入ってくる。

館 内

国道398号から見る大湯温泉阿部旅館。

日本三大霊地(三大霊場とは別)の川原毛地獄。この一角には、温泉好きに知られる滝の温泉、川原毛大湯滝がある。

かっての湯小屋の風情をそのまま残した今昔風呂は、素朴な造りで、湯治気分を味わえる。

皆瀬牛のローストビーフ。

造りにも皆瀬牛のタタキが。

先にメロンが出ているので、秋田特産のサクランボはサービズデザート。

簡素な朝食、これで十分だ。

敷地内のあちこちから噴煙が舞い上がり、秘湯の雰囲気たっぷりだ。

所在地 : 湯沢市皆瀬字小安

本館内にある内風呂。ここにシャンプー類が置いてある。浴槽の縁は桧、浴室の内装は青森ヒバを使用、とてもよい雰囲気だ。この風呂は宿泊者専用だ。

部屋から見下ろす温泉棟は黒一色で風情たっぷりだ。左を流れる大湯沢川は温泉の川。

ロビー周辺は民芸品が置かれ、懐かしく温もりある雰囲気を醸し出している。

風 呂

フロント周辺。磨きこまれた廊下が美しい。

大湯温泉の開湯は、江戸時代の文化年間(1804年〜18年)と言われるが、明治時代に入って阿部家が引き継ぎ、現在に至ってる。
少し古いガイドブックで、現在が4代目と書いてあるが、既に5代目に入ってるかもしれない。

日本秘湯を守る会の宿で、部屋数9室、その内ウオッシュレット付きが8室、トイレ無しが1室。10,000円〜14,000円程度で宿泊出来る。


館内は民芸調で、思いがけず小洒落た雰囲気だ。パブリックスペースや廊下は清掃が行き届き、清潔感が漂う。

今回は珍しく1人旅、案内されたのは
209号室・紫陽花の間、6畳に少々の板の間、シャワートイレ付き。料金は税抜きで10,000円とリーズナブルだ。
温泉・風呂・食事等を総合しての満足度は高く、コスパ良好の宿だ。
施設名 : 阿部旅館 (宿泊日:2015年7月8日)

温泉名 : 大湯温泉

前菜には、秋田特産のジュンサイも出る

河原にある温泉棟へは、黒塗りの回廊を下って行き、ワクワク感たっぷりのアプローチだ。中央右に掛けてあるのは乾燥した玉蜀黍。

国道沿い、大湯ノ沢にかかる橋の袂に看板が置かれ、見逃すことはない。

日帰り入浴を歓迎していることが分かる看板。入浴時間は書かれておらず、料金は400円。