金山町は福島県の西部、会津地方の南西部で奥会津と言われる地域にあり、町の90%が森林地帯、人口は2,500人ほどだ。
町の周囲は800m〜1300mの山々に囲まれ、北部は新潟県との県境となる越後山脈が連なっている。


町の中央部には、国立公園の「遥かな尾瀬」を源流とする只見川が流れ、そこに合流する滝沢川、山入川、野尻川などが渓谷を刻み、日本の原風景ともいうべき自然を造形している。
只見川はやがて、中流・下流域で日本一の水量を誇る阿賀野川と合流して日本海に流れ込む。

磐越自動車道坂下ICから金山町役場まで約40分ほど、会津若松から只見線で約2時間を要する。

只見川を遡る形で平行する国道252号線は会津若松から新潟県の柏崎市に到る200kmを超える幹線道路だが、沿線は日本海型の気候で、根雪期間が4カ月に渡る日本有数の豪雪地帯だ。
町域にはフェアリーランドかねやまスキー場があり、温泉も玉梨温泉など素朴な温泉が9ヶ所ある。

大塩温泉 共同浴場 (福島県)
所在地 : 大沼郡金山町

男女とも同じ造りの浴槽だ。析出物で床が赤くなっている。

湯小屋は無人、入口に置いてある料金箱に協賛金として200円以上を投げ入れることになっている。
以前は畳敷きの休憩所があったようだが、今は無くなっている。無人なのにトイレが設置されているのが有り難い。
そこから急こう配の30段ほどの階段を下った先に浴室がある。


ここがお気に入りで、今回の1人旅でも推薦くださったまぐぞーさんは、何回来ても先客がおらずゆっくりと入浴されてるが、この日も無人だった。
もちろんシャンプー類は置いてない浴室は、もともとはシンプルなコンクリート打ちだったものが、温泉析出物が付着して、全体が赤茶色にコーティングされ、温泉好きにはたまらない雰囲気になっている。
ここの浴室・浴槽・温泉の色・掛け流し状態を一見してすぐに、マニアには知られた青森県の古遠部温泉のそれにそっくりと思った。

風呂は3mx2mくらいで5〜6人位が足を伸ばして入れる規模、温泉は緑と黄土色をミックスしたような色で、温度は私が好む36〜37℃程度だ。
泉質は、含二酸化炭素ーナトリウム・塩化物・炭酸水素塩泉。
口に含むと、臭覚・味覚が鈍い私には出し味を感じただけだったが、まぐぞーさんによると「湯を口に含むと甘→炭酸→金気→塩」と味が移って行くようだ。

金山町には、滝沢・中川・大塩・橋立・湯倉・川口・小栗山・八町・玉梨温泉と9ヶ所の温泉がある。
何れも国道252号と並行して流れる只見川とその支流・野尻川沿いにあって、小規模・素朴な温泉であり、中には共同浴場のみのものもある。


大塩温泉は国道252号線から只見川に向かってほんの少し入った所にあり、よほど気をつけないとあっという間に通り過ぎてしまう。
JR只見線の会津大塩駅の1kmほど手前、左手のガソリンステーション跡地に大塩温泉の案内板が置かれている。

大塩温泉は、只見川を眼前に見る斜面に、春の一定期間だけ湧出する露天風呂があることでマニアに知られていた。

しかし、2011年7月の豪雨災害時のダム放流で壊滅的な被害を受け、露天風呂を管理していた民宿・たつみ荘も床上1mの浸水、地盤が削られて全壊状態となった。


幸い、地元の組合員で運営されていて、マニアの間では名泉の評判が高い共同浴場の方は営業しており、入浴することが出来た。


マニアが喜びそうな素朴な温泉が只見川とその支流に沿って点在する奥会津。その中で泡がまとわりつく最上級の泉質と評判の大塩温泉共同浴場に立ち寄った。

施設名 : 共同浴場 (入浴日:2012.10.7) 

共同浴場入口。ここから階段を30段ほど下った先が浴室。

大塩温泉から見る只見川。この下に季節限定(4月自然湧出)の露天風呂があった。現在修復されているのか不詳。

左記の露天風呂を管理している民宿・たつみ荘。2011年の洪水で床上1mまだ冠水したのが一目で分かる。

住 所 福島県大沼郡金山町大塩(番地不詳)
電 話 0241−54−2311(金山町観光物産協会)
交通機関 東北自動車道 西那須野塩原ICより国道400・121・252号線経由99km(所要時間2時間40分)
磐越自動車道 会津坂下ICより国道252号線経由47km(約1時間)
JR会津只見線 会津大塩駅・会津横田駅から徒歩15分(2013年3月現在只見線の一部区間が不通の為利用できない)
日帰り利用施設 特に無し 駐車スペース有り
宿 泊 不可
泉 質 含二酸化炭素ーナトリウム・塩化物・炭酸水素塩泉 泉温38℃(季節・時間帯により加温)
適応症 不記載(理由は「温泉の基礎知識ー温泉の効能」参照)
外来入浴時間 9時〜21時
定休日 無休
入浴料金 清掃協力金として200円以上の寸志
入浴施設 男女別内湯各1
浴室備品 何も無し(洗面器だけ)
観光スポット 地元:妖精美術館、沼沢湖、こぶし館、旧五十島家住宅、フェアリーランドかねやまスキー場、沼沢湖、只見川/ダム、登山・ハイキング
周辺:尾瀬、大内宿、塔のへつり、会津若松、喜多方、猪苗代湖
近くの温泉 滝沢温泉、中川温泉、橋立温泉、湯倉温泉、川口温泉、小栗山温泉、八町温泉、玉梨温泉湯ノ花温泉木賊温泉、小豆温泉、尾瀬檜枝岐温泉、古町温泉、さかい温泉、深沢温泉、たかつえ温泉、滝の原温泉、湯野上温泉芦ノ牧温泉、西山温泉、早戸温泉、宮下温泉、湯西川温泉、川治温泉、鬼怒川温泉、塩原温泉
観光物産協会HP http://www.ht-net21.ne.jp/~kanesho/
データ (変更されている可能性もあります。お出かけ前にご確認ください。)

浸かった瞬間に温泉がざざぁと流れ出る様は見るのは至福の一瞬だ。

赤茶けた湯口。一方、流れ出た湯はそのまま只見川へ。

温泉成分でコーティングされた浴槽の縁。

男性用浴槽

男性用浴槽

女性用浴槽

温泉からの析出物でコーティングされて赤茶色になった浴室。マニアなら涎を垂らし、息が荒くなってくる光景だ。
泉質こそ違うが、全体の雰囲気が、下のマニアに知られた青森県古遠部(ふるとうべ)温泉に似ている。

温泉名 : 大塩温泉 

浸かりながら脱衣所方向を見る。

JR只見線の「会津大塩駅」。2011年7月の豪雨災害で、未だ会津川口駅〜只見駅が不通になっていて、この間にある大塩温泉最寄駅は、雑草が生い茂って線路が全く見えなくなっていた。

古遠部温泉

見れば見るほど雰囲気がそっくりの青森県古遠部温泉浴槽はこちらの方が一回り大きい。

あっという間の泡付きだったが、全く付かない時もあるようだ。これはおそらく加温有りと無しの時間帯から来るのではなかろうか。
源泉温度が38℃なので、午後から加温するという記事を見かけた。これが正しいなら、わたしは午前10時半に入浴、この結果、加温前に入浴出来たことになる。(但し、冬季は24時間加温かもしれない)。

大塩温泉付近の只見川。2011年7月の豪雨の際の誤ったダム放水による爪跡が、増水・氾濫の恐ろしさを示している。