松本の奥座敷・浅間温泉にほど近く、標高700〜800mの山里に旅館が20軒ほど、国民保養温泉地に指定されている静かな美ヶ原温泉。
入浴料金300円、かっての共同浴場を引き継ぐ白糸の湯には地元の人が次から次へとやって来ていた。
日本百名山の美ヶ原は八ヶ岳中信高原国定公園の北西部にあり、最高峰は2034mの王ヶ岳で、山頂付近は平坦な台地になっているので放牧地になっている。
もともとは東山などの名称で呼ばれていたが、1921年(大正10年)に、後に日本山岳会の初代会長となった木暮理太郎が会報誌にここの登山記録を載せてから、美ヶ原の名称が定着したそうだ。
美ヶ原温泉という名称からすると、当然のことながらこの美ヶ原の山麓に位置しているように思うが、実際は松本市の中心から東へ5kmほど、松本の奥座敷・浅間温泉と隣り合っている。
美ヶ原からは直線で15kmほど離れており、美ヶ原の山麓・山裾にあるとも言い難いが、それでも標高が700m〜800mにあるのでそこらは大目に見よう。
美ヶ原温泉は日本書紀に登場するそうで、歴史ある浅間温泉よりさらに長い歴史がある。
かっては白糸の湯とか束間の湯などと呼ばれていたが、昭和30年代に美ヶ原温泉と呼ばれるようになった。
松本市は国宝・松本城を中心とする旧城下町で、長野県の中央やや西にあり、県庁所在地の長野市から南西へ75km、東京から西北へ約240kmに位置している。
キャッチフレーズは「文化香るアルプスの城下町」、「三ガク都(楽都、岳都、学都の三つのガク都)」である。
2005年の合併後の市域は、西の飛騨山脈(北アルプス、3000m級)から、東の筑摩山地(美ヶ原など2000m級)までと広大な市域となった。
観光資源として、松本市は日本を代表する山岳観光地(上高地・乗鞍高原)と従来の浅間・美ヶ原温泉に加えて、白骨・乗鞍高原・坂巻・さわんど・中の湯などの温泉地を一挙に手に入れることになった。
美ヶ原温泉は浅間温泉とともに市の郊外、北アルプスを望むなだらかな丘の斜面に大小の旅館が点在している。
以前にあった共同浴場「白糸の湯」が老朽化して取り壊され、源泉の権利を持つ人たちが出資し、あらたに建設されたふれあい山辺館の1階に新しい白糸の湯が平成15年7月にオープンした。
白糸の湯は上記の通り美ヶ原温泉の旧称だが、「山辺」の文字も、江戸時代に松本城主の堀田氏が温泉保養のために山辺茶屋を建て、これが明治になって山辺温泉と呼ばれた時期があり、ここから由来している。
新しい白糸の湯の外観は、漆喰塗の白壁と褐色の腰板、それに信州瓦葺きの趣きある蔵造りになっている。
風呂は二つに仕切られた内湯と小さいながら露天風呂もある。
料金が大人300円と安いのは、ここが地元の共同浴場としての役割を果たしているためだろう。
タイル張りの浴室・浴槽は広くて清潔、浴槽の刻みから湯が流れ出ている。
少し古いガイドブックでは掛け流しのマークがついていたが、現在は循環との併用のようだ。
加水は無し、注がれる源泉は加温してないが、気温の低い時期だけ浴槽内の分を加温している。
複数の源泉の混合泉で、泉質は無色透明、pH8.6の弱アルカリ性単純温泉、源泉温度は42.2℃とあった。
営業時間は6時30分〜22時(入館は21時30分)で、定休日は第一・第三火曜日となっている。
尚、駐車場を挟んだ向かいには、14種類の風呂と温泉プールを持つ健康増進型のクアハウス・ウエルネスうつくしがある。
宿は湯の原・藤井・御母家の3地区に20軒ほどが点在する。写真は小さな宿が立ち並ぶ湯の原地区、人気の宿「すぎもと」も見える。
国民保養温泉地に指定されていることから分かるように、歓楽的要素が全くない静かな保養向温泉地である。
施設名 :ふれあい山辺館 白糸の湯 (入浴日:2010.10.1)
住 所 | 長野県松本市里山辺85−1 |
電 話 | 0263−35−9076 |
交通機関 | 長野自動車道松本ICから約8km JR篠ノ井線松本駅松本駅前から松本電鉄バス美ヶ原温泉行きで20分、終点下車すぐ |
施設(日帰り用) | ロビー休憩 駐車場(140台) |
宿 泊 | 不可 |
泉 質 | アルカリ性単純温泉 |
適応症 | 不記載(理由は「温泉の基礎知識ー温泉の効能」参照) |
入浴時間 | 午前6時30分〜午後10時(9時30分までに入館) |
定休日 | 第一第三火曜日 |
入浴料金 | 大人 300円 小学生150円 幼児無料 |
入浴施設 | 内湯男女別各1 露天風呂男女各1 |
浴室備品 | シャンプー・ボディソープ無し、ロッカー・ドライヤー有り |
観光スポット | 松本(松本城など)、美ヶ原、上高地、乗鞍高原、ビーナスライン、白馬、安曇野 |
お土産・食事 | 館内不可 浅間温泉で可 |
近くの温泉 | 浅間・扉・崖の湯・鹿教湯・別所・霊泉寺・さわんど・白骨・乗鞍高原温泉等 |
松本市HP 旅館組合HP 松本観光HP |
http://www.city.matsumoto.nagano.jp/ http://www.mcci.or.jp/www/utsukushi/find.html#Top http://youkoso.city.matsumoto.nagano.jp/special1+index.id+58.htm |
3〜4人程度の露天風呂、展望は無い。
むしこ窓・漆喰塗りの白壁・焦げ茶の腰板・信州瓦の風情ある蔵造り。
縁の刻みから温泉が流れ出ている。
上高地かっぱ橋と穂高連峰、ここも松本市だ。
タイル張り、2つに仕切られた浴槽。