戸倉上山田温泉 ホテル笹屋 (長野県)

千曲市は人口は約64,000人、長野県北信地域の南東部に位置し、千曲川中流部の平地とそれを囲む1000m級の低い山々から成っている。

市のほぼ中央を北東に流れる千曲川は、その名の通り幾度も曲がりくねりながら新潟県に入り、全長367km、日本一長い信濃川と名前を変えて日本海に注ぐ。


千曲川西岸、棄老民話で知られる姥捨周辺には2000余りの棚田があり、月夜にはその田ごとに月が写ることから「田毎の月」と呼ばれ、松尾芭蕉や小林一茶の俳人が訪れた。
姨捨山は、古今和歌集(905年序)の和歌にも登場する平安時代からの名勝地で、深沢七郎が楢山節考の基とした姨捨伝説が残る。

千曲市の更埴にはあんずの里があり、上平展望台に登れば一目十万本といわれている日本一のあんずの里が見渡せる。

また千曲市の一部はかって更級と呼ばれ、昔から蕎麦の産地と知られ、小林一茶は「信濃では月と仏とおらがそば」と詠った。
「月は田毎の月」「仏は善光寺」「そばは更級のそば」と、僅か17文字にこの地方の代表的な名所・名産を織り込んでいる。

温泉名 : 戸倉上山田温泉 

揚げ物(茄子のカニ餡)

信州牛のしゃぶしゃぶ(野菜たっぷり)

信州産こしひかり、香の物・味噌汁

水菓子

食 事

別角度の石の湯と木の湯。

笹屋ホテルには、江戸時代初期の慶長3年に酒造業を営んでいた記録が残る。
明治26年、15代当主の坂井量之助が私財を投じて開湯に成功し、これが戸倉上山田温泉の始まりだ。
千曲川の河畔には、温泉の開祖であり、当館の創始者でもある、当人の記念碑が建っている。


笹屋ホテルは1903年(明治36年)の創業、戸倉上山田温泉きっての老舗宿で、今上天皇をはじめとする皇族、志賀直哉・若山牧水をはじめとする文化人、長野冬期オリンピックの際は、サマランチ会場も宿泊している。

現在の笹屋ホテルは、3、300坪の敷地に建つ4ケ所の宿泊棟を回廊で繋ぎ、部屋数は48室の和風旅館で、料金は平日2人1室1人18,000円前後からだ。

志賀直哉がここに滞在して戸倉温泉が舞台の短編小説を執筆した。にれに因んだ数寄屋造りの「豊年虫」は、登録有形文化財で、ここにある8室の宿泊料金は30、000円台であり高級旅館の部類に入る。

千曲川を挟んで戸倉側から見る上山田温泉。旅館の大部分が上山田側にある。

戸倉観世温泉は、美しい透明な緑色の単純硫黄泉がかけ流し。

姨捨駅は、全国でも数少ないスイッチバック方式を擁する駅。当駅のホームから見下ろす善光寺平は日本三大車窓の1つ。日本経済新聞社の「足を延ばして訪れて見たい駅」の全国第2位にランクされた(1位は北九州市門司港駅)。また2008年には全国に数ある月の名所の中から当駅周辺が第1位の「お月見ポイント」に選ばれた。

千曲市更埴にある「あんずの里」。
上平展望台に登れば、一目十万本といわれている日本一のあんず園が見渡せる。

4棟の客室棟を回廊が繋ぐ。右の写真は志賀直哉がここで執筆した短編に由来する「豊年虫」入口で、登録有形文化財の証が展示されている。帝国ホテルを設計したフランク・ロイド・ライトの一番弟子、・遠藤新が設計した数寄屋造りにホテルの手法を持ち込んだ建物で、近代観光旅館建築のモデルとなった。

北海道に次いで温泉数が多い長野県にあって、かっては県内随一の歓楽型温泉地として知られた戸倉上山田温泉。明治26年、ここを開湯した坂井量之助の一族が経営し、温泉街きっての老舗宿である笹屋ホテルに宿泊、湯量豊富な温泉を満喫、信州牛のシャブシャブも美味だった。

実際に宿泊して、上記のクチコミ評価に納得した。

信州牛のしゃぶしゃぶ

信州造り三品

神無月の彩り

そば茶豆腐

「信州牛シャブシャブプラン」で申し込んだので、我が家ではお目にかかれない霜降り和牛をメインに、信州産の食材を使った気取らない料理が供された。

海が無い長野県だけに、県内の旅館の夕食は、鮮魚類の料理は少ないが、ここも同様で、お造りにしても信州産のサーモン・大岩魚・鯉だった。

食事処は、仕切りのない大広間に低目のテーブルと椅子を幾つか配置したもの。
宿泊料金からすると、個室・準個室の食事処が多いこのクラスの宿と比較すると不満が残るかもしれないが、家内が客の声が聞こえるこのスタイルを好むので問題は無かった。

山梨県・埼玉県・長野県の3県に跨る甲武信ヶ岳(2475m)を源流とする千曲川の中流、右岸に戸倉温泉、左岸に上山田温泉が湯煙を上げている。

両岸で41軒の旅館・ホテルが営業しているが、現在は上山田温泉に大多数の旅館がある。

戸倉上山田温泉は善光寺詣での精進落としの湯として、かっては県内一の歓楽型の温泉街を形成していた。
当時の華やかなネオン街には200軒(現在でも130軒)の食事処・小料理屋・カラオケ・スナックなどが営業し、芸者の数も圧倒的に県下一だった。

現在、戸倉上山田温泉には60ヶ所ほどの源泉が掘削されているが、地下の湯脈がよほど豊富なのだろうか、源泉掛け流しの宿が多いのが特徴だ。

ここには個性が異なる7つの外湯・共同浴場があって、温泉好きに知られている素朴で掛け流しの施設が幾つかある。

フロント・コンシエルジェデスク(和風旅館では珍しい)・ロビーなどのパブリックスペースは品格ある雰囲気だ。館内の絨緞はシミ一つ無く、どこも清掃が行き届いて清潔感たっぷりだ。

日帰り入浴不可

部 屋 4.5 風 呂 4.5
朝 食 4.1 夕 食 4.4
接客・サービス 4.5  清潔感 4.7
所在地 :千曲市戸倉温泉
データ (変更されている可能性もあります。お出かけ前にご確認ください。)
住 所 長野県千曲市戸倉温泉3055
電 話
026-275-0338
交通機関 上信越自動車道坂城ICから約8km
しなの鉄道戸倉駅からタクシーで5分
宿 泊 48室
18,000円~25,000円~35,000円前後(豊年虫宿泊)
泉 質 単純硫黄泉(源泉温度47℃) 加水加温無しでかけ流し
適応症 不記載(理由は「温泉の基礎知識ー温泉の効能」参照)
入浴料金 日帰り入浴不可
入浴施設 内湯2ヶ所 露天風呂2ヶ所(何れも男女交代制)、貸切風呂3ヶ所(チェックイン~チェックアウトまで5,400円
観光スポット あんずの里、姨捨(田毎の月・長楽寺)、さらしなの里展望館、真田邸・真田宝物館・文武学校、池田万寿夫美術館、美ヶ原、霧ヶ峰、東山魁夷館・信濃美術館、善光寺
近くの温泉 松代温泉・田沢温泉沓掛温泉・仙仁温泉・別所温泉霊泉寺温泉鹿教湯温泉
千曲市HP
観光協会HP
戸倉上山田温泉HP
笹屋ホテルHP 
http://www.city.chikuma.lg.jp/
http://chikuma-kanko.com/
http://chikuma-kanko.com/modules/contents/index.php?content_id=4
http://www.sasaya.co.jp/

標準的な朝食に信州らしくリンゴジュースと蕎麦が付いた。

夕食:食前酒に続いて

大浴場は、1階の「石の湯」と2階の「木の湯」の2ヶ所あり、それぞれに趣きが異なる露天風呂が付いている。時間で男女を交代するので、宿泊客は両方で入浴出来る。内湯と比べて、露天風呂のサイズが小さいが、枯渇を防ぐために汲み上げる温泉量を抑えるために、敢えて拡張を控えているそうだ

石の湯は、笹の湯ホテルの別棟「豊年虫」を設計した遠藤 新の三男がデザインしたもので、硬質で建材を使い、格調高く仕上げた素晴らしい浴室だ。
木の湯は、「木」の名がつくが、木は床と壁で、浴槽は石造りだ。正面奥から見るとまるで能舞台のような凛とした姿を見せている。
他に貸切風呂が3ヶ所あり、珍しいシステムで、チェックインからチェックアウトまでの貸切制で、料金は5,400円だ。

敷地内に複数の源泉を有するようだが、木の湯では47℃のアルカリ性単純硫黄泉が利用され、ここのHPによれば、加水加温無しのかけ流しで落されている(一部のガイドブックではかけ流し・循環併用)。
尚、日帰り入浴は受け付けていない。

石の湯の先端部分で、ガラス越しに露天風呂が見える。

風 呂

516号室は角部屋で窓が2方向にあり、千曲川と温泉街の両方を見渡せる。12畳に6畳くらいの広縁+4畳の踏込み+桧風呂(温泉)+広いトイレ(シャワー)+広い洗面台が付く。「信州牛シャブシャブコース」で平日2人1室1人18、150円(税別)。

じゃらん クチコミ 総合4.6(2015年4月19日現在)

施設名 : 笹屋ホテル (宿泊日:2014.10.31)

木の湯の方は、桧の樽風呂2個と方形の風呂が並ぶ。

石の湯の露天風呂。庭園に、石造り、中小3つの浴槽が並び、とても風情がある。

日本温泉協会のかけ流し温泉利用証

広々とした湯上り処

大小のタオルが脱衣所に置いてあって、部屋から手ぶらで行ける。

石の湯の中央。

万葉超音波温泉は、早朝4時から営業。こちらも単純硫黄泉がかけ流し。

戸倉上山田温泉の上山田側の旅館街。

JR東日本・姥捨(おばすて駅)から見る善光寺平は、武田信玄・上杉謙信が何回も戦い、雌雄を決しなかった川中島の戦いの舞台。手前が棚田の「田毎の月」。

見事な造りの石の湯。シンメトリーの浴室、手前の円形と奥の楕円形の浴槽が繋がって、大きなガラス窓から見る木々の緑が美しい。奥の楕円形の浴槽の方が熱めだ。

床に木板を敷き詰めた木の湯は、能舞台のような雰囲気。ワイドな一枚ガラスの窓が眩しく、四季の移ろいが感じ取れる。浴槽は3mx7mほどの大きな浴槽。浴室名が「木の湯」だが、浴槽は石板を敷きつめている。

3000坪の敷地、和風庭園を囲んで4棟の客室棟が建ち、その内の一棟は、登録有形文化財の「天然虫」。