緑豊かな自然の中にある天王寺穴原湯。

飯坂温泉は、宮城県の秋保温泉・鳴子温泉とともに奥州三名湯に数えられている。

しかしながら、団体客中心、歓楽的な要素が高かった全国の大温泉地と同じく、バブル崩壊後に大きなダメージを蒙り、最盛期に150軒あった旅館・ホテルが、現在は47軒に減少している。

穴原温泉は、その飯坂温泉を貫く摺上川の上流にあり、旅館が5軒ほどの小さな温泉地だ。
摺上川は、僅か2kmほど遡っただけだが川幅も狭まって渓谷となり、周辺にはなだらかで緑豊かな山々が迫り、丘陵にはリンゴ畑が点在する。
穴原温泉はそんな自然の中にあり、下流の飯坂温泉とは対照的な雰囲気だ。

しかし、穴原温泉(旅館組合)独自ホームページは存在せず、飯坂温泉HPに5軒の旅館も含まれており、地元では飯坂温泉郷穴原温泉という扱いのようだ。
奥十綱橋のすぐ近くには、飯坂温泉の9ヶ所の共同浴場の一つ、天王寺穴原湯がある。

奥州三名湯の一つ、飯坂温泉から摺上川を遡ること2km、緑豊かな浅い山に抱かれた旅館5軒程の小さな温泉地が穴原温泉。
そこにあり、飯坂温泉の9ヶ所の共同浴場中、最も高温と言われる天王寺穴原湯の46℃の湯に浸かった。

福島市は東京からおよそ260km、西側の奥羽山脈と東側の阿武隈高地に挟まれた福島盆地の南西部分とその周辺の山岳・丘陵地帯が市域である。
市内からは西に吾妻連峰を、南西に安達太良山を仰ぐ。
古来から交通の要衝だったが、現在でも東北道の他、国道4号線から分岐する国道13号線の起点であり、鉄道では東北新幹線と山形新幹線の分岐となっている。


市域最大の観光スポットは、磐梯朝日国立公園に属する土湯峠から平均標高1,350m、最高標高1,622mを走り高湯温泉に至る29km、吾妻連峰を縫うように走る磐梯吾妻スカイライン(日本の道100選)である。

市域には、上記の高湯の他に、東北を代表する飯坂温泉、安達太良山と吾妻山の谷間や山麓に湧く土湯温泉郷・土湯峠温泉郷など、多数の温泉が点在する。

吾妻連峰の麓を走る14kmの道はフルーツラインの愛称がつけられ、季節になると桃・サクランボウ・梨・リンゴ・ブドウなどの果物狩りが出来る直販所が店を開く。

天王寺穴原湯は、飯坂温泉から2kmほど離れた摺上川上流の奥十綱橋袂にあるが、飯坂温泉9番目の共同浴場として勘定されている。

元々は現在ある位置の対岸、天王寺近くにあって天王寺湯と呼ばれていたが、昭和61年に現在のところに移転して、天王寺穴原湯と改称された。

他の共同浴場と異なって、摺上川の渓流を見下ろし、周囲を緑豊かな丘陵に抱かれて、自然に恵まれた地域にある。

建物は、目につく看板も無く、入口が階段を上がった裏側にあることもあって、一見すると2階建ての瀟洒な民家に見えるが、道路沿いの自動販売機と駐車場が目印だ。

営業時間は他と同じく午前6時〜午後10時、入浴料金は大人200円、休業日は毎週水曜日で、トイレ・ロッカー、駐車場も設けられている。
9ヶ所の共同浴場

鯖湖湯(さばこゆ)、波来湯(はこゆ)、切湯(きりゆ)、仙気の湯(せんきのゆ)、導専の湯(どうせんのゆ)、大門の湯(だいもんのゆ)、八幡の湯(やはたのゆ)、十綱湯(とつなのゆ)、天王寺穴原湯(てんのうじあなばらゆ)の全部が源泉かけ流し。

入浴時間はすべて午前6時〜午後10時、曜日が異なるが週1回の休業日がある。
入浴料金は観光的色彩が濃い鯖湖湯の300円を除き、他は200円、すべて自販機で入浴券を購入する。また全部の施設にトイレとロッカーが設置されているが、駐車場は鯖湖湯、波来湯と天王寺穴原湯にのみある。

摺上川は川幅が狭くなって渓流となって飯坂温泉へ流れ下る。5軒の旅館は何れも5階〜10階程度の高層だ。


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当然のことながらシャンプー類は置いてない。
地元の人に「奈良から来たの!」と驚かれた。

住 所 福島県福島市飯坂町湯野湯尻25-5
電 話 024−542−4241(観光協会)
交通機関 東北自動車道福島飯坂ICから約6km
福島交通飯坂線飯坂温泉駅からタクシーで5分
施 設(日帰り) 湯上り処、駐車場有り
宿 泊 不可
泉 質 アルカリ性単純温泉(pH8.4 泉温60℃)
適応症 不記載(理由は「温泉の基礎知識ー温泉の効能」参照)
入浴時間 午前6時〜午後10時
定休日 毎週水曜日
入浴料金 大人200円 (館内自動販売機で支払い)
入浴施設 男女別内湯
浴室備品 カラン・シャワー無し、シャンプー類無し、ロッカー・トイレ有り
観光スポット 飯坂温泉街(温泉街散策・旧堀切邸・中野不動尊・医王寺・八幡神社(喧嘩祭)・福嶋 片岡鶴太郎美術庭園・飯坂明治大正ガラス美術館)
フルーツライン、磐梯吾妻スカイライン(日本の道100選)、磐梯山(裏磐梯)、桧原湖、五色沼、秋元湖、吾妻高原、浄土平、会津若松、喜多方
近くの温泉 飯坂温泉、高湯温泉、土湯温泉郷、土湯峠温泉郷岳温泉、微温湯温泉、信夫温泉中ノ沢温泉米沢八湯、白石湯沢温泉、小原温泉、鎌先温泉
福島観光協会HP
飯坂温泉HP
http://www.f-kankou.jp/
http://www.iizaka.com/
雑記帳 飯坂温泉宿泊を決めた最大の理由が、9ヶ所もある共同浴場の魅力。
飯坂温泉のシンボルである共同浴場・鯖湖湯が休業日と翌日の臨時休業で浸かれず、その代りに3ヶ所の鄙びた地元利用が主の共同浴場3ヶ所(大門の湯、八幡の湯、天王寺穴原湯)で入浴を果たした。
データ (変更されている可能性もあります。お出かけ前にご確認ください。)

温泉名 : 穴原(あなばら)温泉

飯坂温泉のシンボル、共同浴場・鯖湖湯周辺の風景。

所在地 : 福島市飯坂町

いかにも共同浴場らしいタイル張りのシンプルな造り、3〜4人程度の大きさで、かけ流し。先客3人は地元の人で、親しげに話していた。
浴槽の温度は、デジタル温度計が46℃を表示していた。地元の人に遠慮して加水せずに、きりきりとした
痛みを感じる温泉に歯を食いしばって入浴した。下のライオンの湯口の写真が浸かった証拠!

鯖湖湯:飯坂温泉のシンボルで一番古い共同浴場。平成5年に明治時代の様式に則って再建された。

八幡の湯:けんか祭りの行われる八幡神社や八幡寺の近くにある素朴な共同浴場。

波来湯:摺上川沿い、十綱橋に近く、平成23年1月に再建された。太鼓やぐらを設けた和風の外観が特徴。

近くの穴原温泉の旅館、冨士屋が湯元の冨士屋源泉を利用。源泉温度60℃、無色透明無味無臭、pH8.4の若干しっとり感が感じられるアルカリ性単純温泉。

左側、他の8ヶ所と同じく自動発券機に200円を投入。

意外に広い脱衣場。

フローリングの湯上がり処。

穴原温泉 天王寺穴原湯 (福島県)

施設名 : 天王寺穴原湯( (入浴日:2012.7.10)