福島市は東京からおよそ260km、西側の奥羽山脈と東側の阿武隈高地に挟まれた福島盆地の南西部分とその周辺の山岳・丘陵地帯が市域である。
市内からは西に吾妻連峰を、南西に安達太良山を仰ぐ。
古来から交通の要衝だったが、現在でも東北道の他、国道4号線から分岐する国道13号線の起点であり、鉄道では東北新幹線と山形新幹線の分岐となっている。
市域最大の観光スポットは、磐梯朝日国立公園に属する土湯峠から平均標高1,350m、最高標高1,622mを走り高湯温泉に至る29km、吾妻連峰を縫うように走る磐梯吾妻スカイライン(日本の道100選)である。
途中、噴煙が舞いあがる一切経山(1949m)と吾妻小富士(1,707m)の間に開けた浄土平では、荒々しい山塊を間じかに見ることが出来る。
吾妻連峰の麓を走る14kmの道はフルーツラインの愛称がつけられ、季節になると桃・サクランボウ・梨・リンゴ・ブドウなどの果物狩りが出来る直販所が店を開く。
福島市域には、東北を代表する温泉地の一つである飯坂温泉、何れも日本百名山の安達太良山と吾妻山の谷間や山麓に湧く土湯温泉郷と土湯峠温泉郷、そして白濁した湯が豊富に湧き出る高湯温泉などの温泉群が湯煙を上げている。
中でも飯坂温泉は、宮城県の秋保温泉・鳴子温泉とともに奥州三名湯に数えられている。
また、古今和歌集にも詠まれている古湯であり、俳聖松尾芭蕉もここに立寄って温泉に浸かっている。
温泉街は、飯坂駅を出てすぐ右手に十綱橋が架かり、その下を流れる摺上川(すりかみがわ)の両岸に、大きな旅館・ホテルが立ち並んでいる。
しかしながら、団体客中心、歓楽的な要素が高かった全国の大温泉地と同じく、バブル崩壊後に大きなダメージを蒙り、最盛期に150軒あった旅館・ホテルが、現在は47軒に減少している。
特筆すべきは、歴史ある温泉地に相応しく9軒の共同浴場があることで(近くの穴原温泉の共同浴場1軒を含む)、温泉好きには嬉しい湯巡りが待っている。
先に入浴した八幡の湯の前の道をさらに500mほど南に進んだ先にある。温泉街からはかなり離れており、周辺に旅館は全く見えない。
敷地内からは福島盆地を眼下に一望でき、小高い丘の上に位置していることが分かる。
ここは中世に築城された山城・大鳥城の大手門があった場所で、これに因んで字名が大門となり、現在は集会所と共同浴場が設けられている。
大鳥城は、源義経の忠臣、佐藤兄弟の父・基治の居城であった。義経が平泉から平家追討の兵を挙げ際に佐藤継信、忠信の兄弟が馳せ参じ、その後の多くの戦で武勲をあげた。
継信は屋島の合戦で義経に放たれた矢を身を持ってかばって戦死、忠信は頼朝が派遣した義経追討軍と戦い、自ら義経と名乗り敵を引き付け戦死したと伝えられている。
父の基治も源頼朝軍と大鳥城に籠って戦い、落城した。
中学・高校にかけて愛読した講談社の講談本の1つ「源平盛衰記」でこの佐藤兄弟が登場しており、良く承知していたが、入浴時にはまさか佐藤一族の居城跡に大門の湯があるとは知らなかった。
浴槽内、注入される温泉の温度が示されている。浴槽内の温度は45℃はあっただろう。湯は新鮮、キリキリした浴感が癖になりそうだった。
飯坂温泉は奥州三名湯の一つで、古今和歌集にも詠まれている東北有数の大温泉地であり、温泉好きには、鯖湖湯をはじめ9ヶ所の共同浴場で浸かれるのがたまらない。
その内の一つである大門の湯は、温泉街のはずれの高台にあって、源義経の忠臣、佐藤継信、忠信兄弟ゆかりの大鳥城の大手門があった場所に造られたのでこの館名が付けられた。
温泉は中央に伸びたパイプから落とされる。上に温度計が装着されている。
住 所 | 福島県福島市飯坂町大門1 |
電 話 | 024−542−4241(観光協会) |
交通機関 | 東北自動車道福島飯坂ICから約5km 福島交通飯坂線飯坂温泉駅から徒歩約15分 |
施 設(日帰り) | 特に無し、周辺に4台ほどが止められる空き地があった。 |
宿 泊 | 不可 |
泉 質 | 単純温泉(混合泉) |
適応症 | 不記載(理由は「温泉の基礎知識ー温泉の効能」参照) |
入浴時間 | 午前6時〜午後10時 |
定休日 | 毎週木曜日 |
入浴料金 | 大人200円 (館内自動販売機で支払い) |
入浴施設 | 男女別内湯 |
浴室備品 | カラン・シャワー無し、シャンプー類無し、ロッカー・トイレ有り |
観光スポット | 温泉街(温泉街散策・旧堀切邸・中野不動尊・医王寺・八幡神社(喧嘩祭)・福嶋 片岡鶴太郎美術庭園・飯坂明治大正ガラス美術館) フルーツライン、磐梯吾妻スカイライン(日本の道100選)、磐梯山(裏磐梯)、桧原湖、五色沼、秋元湖、吾妻高原、浄土平、会津若松、喜多方 |
近くの温泉 | 穴原温泉、高湯温泉、土湯温泉郷、土湯峠温泉郷、岳温泉、微温湯温泉、信夫温泉、中ノ沢温泉、米沢八湯、白石湯沢温泉、小原温泉、鎌先温泉 |
福島観光協会HP 飯坂温泉HP |
http://www.f-kankou.jp/ http://www.iizaka.com/ |
雑記帳 | 飯坂温泉のシンボルである共同浴場・鯖湖湯の湯温が高温と聞いていたが、宿のスタッフが「もっと熱いですよ」と、「暗に外からの人は入れない」の意味を込めたコメントを無視して挑戦したのが、先に入浴した八幡の湯だった、。 その後、ここ大門の湯で入浴したが、地元の人が、共同浴場ではここが一番熱いと断言した。 我々、外部の者は、入浴時間や入浴者数や先客が加水して湯温を下げたあとで入浴した、など様々な異なった条件のもとで一度入浴するだけなので、軽々にどこが一番高いか言える立場ではない。 |
摺上川(すりかみがわ)を跨ぐ十綱橋から見る温泉街。廃業した旅館が廃墟となって、今の飯坂温泉の状況を無言で語っている。左は近年リニューアルされた共同浴場の波来湯。
施設名 : 大門の湯 (入浴日:2012.7.9)
昭和37年に建設された大門の湯。素朴なグレーの建物に色鮮やかな暖簾が男女別を表す。
営業時間は午前6時〜午後10時、定休日は毎週木曜日。入浴料金は200円で自動発券機で購入。
タイル張り、5〜6人が一度に入れる大きさの浴槽。
湯は5源泉の混合泉で、泉質は無色澄明な単純温泉、源泉温度は68.3℃。
とろりとした重い輝きを見ただけで高温泉なのが分かった。
磐梯吾妻スカイラインの荒々しい景観。